ここまで述べてきたように、今こそ「スパイ防止法」を制定すべきです。スパイ防止法の必要性については、当団体のみならず、これまで多くの有識者や専門家が訴え続けてきました。最後に、そんな有識者らの言葉をご紹介いたします。
「スパイ防止法はどの国も持っているわけですから、日本だけが持っていないのは、どう考えてもアンフェアです。(中略)たとえば中国で米国人がスパイ容疑で逮捕されると、米国も米国内の中国人をスパイ容疑で逮捕します。こうしてお互いに外国人を捕まえることで、スパイ交換の契機が生まれ、取り返すことも可能となります」小谷賢・日本大学危機管理学部教授(高市早苗 編著『国力研究』)
「現下の厳しい米中覇権争いの中では、中国の対日工作が一層熾烈になることが予想される。我が国の防諜体制の強化が求められるゆえんである」福山隆・陸上自衛隊元陸将(『スパイと日本人』)
「日本には情報戦に対処する法律もなく、脅威認識も低い。(中略)まずは情報戦を『脅威』として認識すべきで、……一般市民も含めて社会全体で対処していく体制を作り上げるべきだ」齋藤孝道・明治大学サイバーセキュリティ研究所教授(産経新聞2025年8月27日付)
「今、日本国民には(ハイブリッド戦争などに対する)『認識のアップデート』が求められている」志田淳二郎・名桜大学准教授(「正論」2024年7月号)
「個人的には“スパイを取り締まる法律”だけでは今の状況は防げないと考えています。それより機密情報が外部に漏出するのを阻止することに加え、社会において影響力工作も含む各工作への意識を向上させ『社会におけるカウンターインテリジェンス』(防諜)という大きな枠組みで考えるべきです。いくら国がスパイを取り締まる法整備をしても、国民や企業の意識が変わらなければ、対処できません。(中略)社会全体でスパイ対策に意識を向ける空気をつくることが急務です」稲村悠・元警視庁公安部捜査官(「WiLL」2023年9月号)
以上、「スパイ防止法」制定とともに、「情報戦」や「防諜」などに対する私たちの認識もアップデートしていきましょう。
今こそ「スパイ防止法」制定を
現代のスパイ工作の実態と脅威
2025年9月30日 第1刷発行
編集・発行 スパイ防止法制定促進国民会議
発行協力 国際勝共連合