2025年9月30日、小冊子『今こそ「スパイ防止法」制定を 現代のスパイ工作の実態と脅威』を発行しました(発行協力:国際勝共連合)。
当サイトに冊子の全文を掲載いたします。
【目 次】
はじめに
1 なぜ今「スパイ防止法」が必要なのか
2 「スパイ防止法」がない異常な国・日本
3 日本の代表的なスパイ事件
4 現代のスパイ工作の実態と脅威
5 「スパイ防止法」に対する各党の立場
6 「スパイ防止法」制定に不可欠な3つの提案
7 「スパイ防止法」制定に伴う疑問に答える
おわりに
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はじめに
皆さんは、リヒャルト・ゾルゲ(1895~1944)という名前を聞いたことがあるでしょうか。ソ連の大物スパイです。スパイとは、政府や組織の一員として、秘密裏に敵国や競争相手の機密情報などを収集する人間のことを言います。間諜(かんちょう)、密偵(みってい)、工作員などとも呼ばれます。
ゾルゲは日米開戦前夜、ドイツ軍のソ連侵攻や日本軍の「南進」をモスクワに通報し、結果としてソ連を守ったのです。
2024年11月7日はゾルゲの処刑から80年となり、これを期してロシアでは追悼行事が行われました。2025年10月のゾルゲ生誕130年には、ロシア国防省主催の記念シンポジウムが企画されています。スパイ・ゾルゲの存在の大きさを物語っています。
ゾルゲは、ソ連にとっては「救世主」であり、反面、日本にとっては地獄のような戦争への案内人となりました。スパイを理解する上での典型例としてゾルゲを挙げてみました。
「スパイ防止法制定促進国民会議」は1979年に設立され、今日まで運動を推し進めて参りました。
1970年代に入り、米中両国が対ソ戦略を共有して接近・国交正常化に至り、日中間も国交回復、平和友好条約締結へと進みます。以後、日本を舞台にソ連、中国、米国の情報戦が展開され、北朝鮮によるスパイ工作の活発化も不可避であることから、「スパイ防止法」が必要不可欠となったのです。
しかし、当時の左翼勢力の熾烈(しれつ)な反対運動と、運動を共に担った自民党の党内事情からスパイ防止法を制定することはできませんでした。
それから40年を経て、「スパイ防止法」なき日本が今、我が国のみならずアジアと世界の極めて深刻な不安定要因になっています。米国を凌駕するという中国の戦略目標達成を左右するのが、対日工作であるからです。
中国は今後も、日米離間工作を徹底して展開することでしょう。ロシア、北朝鮮も同様です。日本の国家としてのあり方が、これからのアジアと世界の平和を決定づけるのです。スパイ防止法を早急に制定することが、愛国運動の核心とも言えるでしょう。





