7 「スパイ防止法」制定に伴う疑問に答える

 

Q.「スパイ防止法」で基本的人権が侵害されるのでは?
A. 侵害されることはありません

スパイ防止法では、その条文で「スパイ」の定義を明確にし、スパイ行為のみを罰することになります(これを「罪刑法定主義」と言います)。

また、戦後の現行憲法や現行法の下では、戦前と違い、国民の基本的人権が最大限に保障されています。戦前のように令状なしの捜査など、人権を侵害するような捜査は許されていません。よって、たとえスパイ防止法が制定されたとしても、一般の国民の基本的人権が脅かされることなどないのです。

むしろ、スパイ防止法で我が国の平和と安全を守ってこそ、私たちの基本的人権は最大限保障されると言えるでしょう。

Q.「スパイ防止法」で言論・報道の自由が制約されるのでは?
A. 制約されることはありません

スパイ防止法の目的は、あくまでもスパイ行為の防止と、その取り締まりにあります。新聞記者やジャーナリストなどの取材・報道活動について、それが正当なものである限り、その自由は憲法でも刑法でも最大限に保障されています。何も心配ありません。

「スパイ防止法が制定されると、言論の自由が圧殺される」などと、共産党や左翼メディアはしきりに批判してきましたが、これはスパイ防止法制定を阻止するためのデマに過ぎません。

何よりも世界的に見て、スパイ防止法のために言論の自由が制約されている国があるでしょうか。

欧米、北欧の先進自由主義国では、いずれもスパイ防止法が制定されています。しかも、言論の自由も保障されています。

かつての「スパイ防止法案」(正式には、防衛秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案)の第13条でも、「この法律の適用に当たっては、表現の自由その他国民の基本的人権を、不当に侵害することがあってはならない」と、言論・出版の自由を完全に保障していました。

Q.「特定秘密保護法」や「セキュリティ・クリアランス制度」があるから、「スパイ防止法」はいらないのでは?
A. それでもなお「スパイ防止法」が必要です

「特定秘密保護法」や「重要経済安保情報保護活用法」(通称「セキュリティ・クリアランス制度」)が制定されてもなお、「スパイ行為」自体を取り締まる「スパイ防止法」の制定が必要です。

2013年12月に成立、翌年12月に施行された「特定秘密保護法」(特定秘密の保護に関する法律)は、その名が示す通り、「特定秘密」の漏洩を防ぐためのものです。あくまでも、限定的な「特定秘密」を保護対象に、主に「特定秘密」を取り扱う公務員等を処罰の対象とした法律です。

一方、同法第24条の規定にあるように、公務員等以外の人でも、「特定秘密」であることを知って、不当・不正に「特定秘密」を取得、また取得しようとした(未遂の)場合にも罰せられることになります。

また、2024年5月に成立、翌年5月に施行された「セキュリティ・クリアランス制度」は、政府が保有する重要な経済安全情報へのアクセス権を、厳格な適性評価(セキュリティ・クリアランス)に基づき制限する制度です。

このような「特定秘密保護法」と「セキュリティ・クリアランス制度」によって、「特定秘密」や「重要経済安保情報」の漏洩防止に資することは間違いありません。それでもなお、広く「スパイ行為」自体を取り締まるための「スパイ防止法」の必要性は変わらないのです。

おわりに


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